From Mad Mike collection part 1


Mad Mikeの名を初めて耳にしたのは、90年代も終わりに差し掛かった頃だと思う。「Crypt, Norton Recordsのルーツというべき、偉大なる先駆者/DJがペンシルヴァニア州のピッツバーグに存在した」という一節にとてつもない衝撃を受け、かつて60年代にリリースされた編集盤『Mad Mike Moldies』を無我夢中で探し、ようやく手に入れた時の嬉しさは今でもハッキリと覚えている。その30年先を行く選曲の鋭さに心底驚き、私はたちまちMad Mikeという人物に魅了された。今でこそNortonからコンピレーション『Mad Mike Monsters』がリリースされ、ガレージ~ロックンロール愛好家の間にネームが知れ渡った感があるが、当時はアメリカのディーラーに”Mad Mike”と口にしただけで、「何でニッポンジンのオマエが知っているんだ?」と妙な顔をされたものだ。ローカルなエリアでは著名であっても、それはまだまだ一部の世界、コレクター界隈でしか過ぎなかった。
間もなくしてインターネットが普及し、ここぞとばかりに彼の経歴をあれこれと調べ始めた。するとぶつかったのがピッツバーグのローカル新聞的なサイトで、彼が2000年のハロウィンの日に亡くなったことを知らせるものであった。死去から既に一年近くが経過していたが、絶大なる賛辞の数々に改めて彼の影響力の強さを実感した。
それから更に月日が経過し、とんでもないニュースが私の耳に飛び込んできた。ご贔屓にしているディーラーから「Mad Mikeの所有していたレコードを放出する」という連絡が入ったのである。なんということだ、嘘だろ。ありえない! その後送られてきた膨大なレコード・リストを食い入るようにチェックし、見たことも聴いたこともない怪しげなディスクを100枚以上を抜き出してすぐさま注文した。「早い者勝ち」(first-come, first-served)のルールの結果、手元に届いたのはわずか10枚程度であるが、それでも激戦をなんとか勝ち抜いたような気分で高揚していた。
本盤はその時の収穫のなかで最も気に入っている一枚である。レーベルにはラジオ局のライヴラリー・ナンバーつきのマスキング・テープが貼られ、その脇に”Mad Mike”と綴ってある。彼はレコードに自分の所有物とわかるように名前を書き込み、時にはサウンドの特徴を記す習慣があった。このサインが彼のコレクションの一部であったことを明確に証明するものだが、時折自分の手元にあることが信じられなくなる(つづく)。

Audio clip: Adobe Flash Player (version 9 or above) is required to play this audio clip. Download the latest version here. You also need to have JavaScript enabled in your browser.


From Mad Mike collection part 1 はコメントを受け付けていません。

Filed under 45rpm, Doo Wop, Mad Mike, R&B

Comments are closed.