The Avantis – Wax ‘Em Down



 Pat And Lolly Vegasの話が出たのでもう一丁。
 90年代に乱発されたサーフ~ホットロッド・コンピレーションのなかでも、ひと際印象に残っているのが『Wax ‘Em Down』というアルバムだ。ガレージ・シーンで有名な某ミュージシャン二人が編集したということもあって、ジャケット・デザインから作品のコンセプト、選曲の全てに至るまで、サーフというよりガレージ・ファンにガンガンにアピールする、ロウな内容のアルバムだった。そのLPのA面トップを飾るのが、タイトル元となったAvantisのナンバーである。
 サウス・カリフォルニアのサーフ・ブームのあおりを受け、Avantisが結成されたのは1963年。Patがベースで、Lollyがギター。ドラムはのちにBeach BoysのメンバーとなるMike Kowalskiが担当していた。
 彼らを最初に見いだしたのが、フィラデルフィアのChancellorレーベルのオーナー、Bob Marcucciというのが面白い。BobはFrankie AvalonやFabianといった「男性アイドル」を売り出した、いわゆる「やり手」として知られる人物。ロスアンジェルス来訪時にAvantisのライヴを観て何かピンとくるものがあったのか、バンドとすぐさま契約を結び、シングルを発表する。Chancellorは地元フィラデルフィアはもとより東側で認知度が高かったゆえ、Avantisのデビュー作は西海岸以上に東海岸で流通された。
 同州発ということもあってか、このナンバーはかのMad Mikeの耳にとまり、ピッツバーグの地域的ヒット~クラシックとなった。カタログ・ラインナップからこの地域のヒット・ソングが全て俯瞰出来るブート・レーベル、Astraからもリリースされている。
 イントロから間奏に入る「キュキュキュ」と唸るギターの擬音が、この曲の全てといえるほどのキャラクターを作り出してる。途中オルガンやハンドクラップも追加され、短いながらも聴きどころはたっぷりだ。中近東的フレーズを織り交ぜながら進行していくB面「Gypsy Surfers」もソリッドで素晴らしい。まったくをもってPat And Lolly Vegasはすげえな~と再認識する音源である。

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