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今回もおすすめ盤パート2です。

Patrice Holloway – Do The Del-Viking


 ブラック地にシルバー・インクのレーベル。例えばメジャーだったらRCA Victorなんかがそうなんだけど、既存のスキャナーだと実色通りにスキャン出来ず、シルバーが沈んでメリハリがなくなってしまう。取り込みソフトの「退色復元」をチェックするとシャープに写るが、今度はブラック部が白けてしまう。ショップの方は基本ノーマルで撮ったものを載っけていますが、ここで敢えて「退色復元」の方を掲載してみます。う〜ん、どっちがいいかね?
 Patrice HollowayといえばCapitol時代に残したシングル「Stolen Hours」が既にノーザン・ソウル・シーンでクラシック化しており、一部熱狂的なファンも多い。本盤は彼女としては無名期にあたるデビュー作で、レーベルのクレジットにあるように12才の時にレコーディングされている。姉のBrendaものちのち音楽シーンでビッグ・スターとなるから、芸能一家で育ったようなものか。なんだか凄いな。
 プロデュースは後にJackson 5を手掛けてビッグ・ネームとなるHal Davisによるもので、彼が駆け出しの頃に運営していたプライヴェート・レーベルTasteからリリースされた。ドゥーワップ・グループDel-Vikingsの名前を新しいダンス・スタイルに当てつけて歌ったものだが、これがまたなんでなのかよくわからない。HalとPatriceはロスアンジェルス出身で、Del-Vikingsはピッツバーグのグループである。両者の関係は未だ謎に包まれている。
 しかしだ、同郷のDel-Vikingsをわざわざタイトルに冠した珍奇なダンス・ナンバーを、かのMad Mikeが黙って放っておくはずがない。この何千マイルも西のリージョナルでマイナーなナンバーの情報をいち早く仕入れ、思うがままに地元ピッツバーグで流行らせてしまう。いちいち記すまでもないが、まったくをもって嗅覚の鋭い男である。
 当時どのような形で流通されていたのか不明だが、滅多に市場に出ることの無いディスクだ。コンディションはG+、といっても当店は控えめにつけているので、支障無く再生出来ます。既に承知の方もいるでしょうけど、なるべく厳しくジャッジしているのでM-の表記は殆ど使わない。Exですら、たまにある程度。なのでG+でも全然いけますよ。ホント、機会があれば盤面を直接見せたいくらいで。
 そうそう、2009年にA-Bonesが来日した際、東京のみ特別に「Norton Night」と冠したレコード・ホップが催されたのだけど、予想通りこのナンバーがプレイされた。瞬時、おーっと唸ったボクにMiriamがこう囁いた。「【Patrice HollowayイコールMarsha Gee説】がコレクターやDJ界隈の間で流れたのよ。有り得ないと思うけど…」。
 一体誰が最初に言いだしたのか知らないが、この馬鹿げたエピソードをブログでも始めたあかつきに使ってやろうと、かねてから大事に温存していた。今こうして発表出来て、えらくスッキリしている。


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